a / an の基礎

a / an の基礎

冠詞(a, an, the)は短い単語ながらネイティブでも説明ができないほど難しいコンセプトを持ちます。その使い方にはある程度のルールはあるものの、実は例外だらけ。では今回はそんな超難しいと言われる a / an の基本と、ちょっと日常で使える小ネタをご紹介。

 

a / an は名詞につく

a / an は名詞につきます。名詞というと pen や book など実際の「モノ」を想像しますが、それ以外にも人、場所、そして想いや考え(アイデア)など目に見えないものだって名詞ですよ。

 

a cat

a man

a station

an idea

 

そして an を使うのは、上記の an idea のようにその後に来る単語の「発音」が a, i, u, e, o (母音)の場合です。「発音」で決まるんですよ、「スペル」ではありませんよ。 an hour などがいい例で、h で始まるけど hour は「アワー」と発音しますので an を用います。逆に university は u で始まりますが「ユ」の音で始まり母音ではないので a university となりますよ。

 

an alligator

an orange

 

また、例えば a beautiful woman のように、名詞との間に別の単語が入っても a / an は必要です。ここで注意すべきことは、名詞そのものの発音がたとえ母音で始まっても、その前の a の直後の単語が母音で始まらなければ an ではなく a を使うことです。

 

a big ant

 

逆に、名詞の単語が子音で始まっても、a の直後の単語が母音で始まるならば an を使いますよ。

 

an angry mother

 

なぜ a だけじゃなく an も使う必要があるのか

ところで、そもそもなぜ an を使うのか。ややこしいし全部 a でいいのではと思う方もいるのでは。これは、もし a hour を発音すると「ア、アワー」と「ア」 が二回続いて言いにくいからなんだと私は思っています。日本語でもありますよね。例えば、大阪には千林という地名がありますが、「せんはやし」ではなく「せんばやし」と読みます。これは同じように読みやすさから濁点を入れるようになったのではないでしょうか。(私は日本語教師ではないのでここは推測ではありますが)

 

 

a / an の基本的なルール

さてでは、基本的なルールをサラッとご紹介しましょう。

 

1.ひとつのモノには a / an がつく

 

This is a pen.
コレはペンです。(1本)

I have a green umbrella.
私、緑の傘持ってる。(1本)

 

2.複数になると a / an はつかない(複数形にする必要がある)

 

They are pens.
それ、ペンですな。(複数)

I have green umbrellas.
私、緑の傘持ってる。(複数)

 

3.数えられない名詞(液体や溶けるもの、決まった形がないものなど)は a はつかない(複数形もない)

 

I like cheese.
僕チーズ好き。

She had meat for dinner.
あの子晩御飯にお肉食べてた。

He has a lot of money.
彼めっちゃ金持ちやで。

チーズは溶けて液体になりますし、肉は切ったりして形が変わるため決まった形とは言えないので数えられない名詞になるんですよ。一見固形で数えられそうではありますので、要注意です。お金も1円2円と数えられそうですよね。「bill お札」や「coin 硬貨」と言えば数えられるのですが、money そのものは数えられません。

 

4.数えようと思ったら数えられるけど、ありすぎて数えられそうにもないもの(砂やお米など)は a / an はつかない

 

I had rice yesterday.
昨日お米食べた。

She put some sugar in her coffee.
彼女、コーヒーにちょっとお砂糖入れてた。

 

大きなルールとしてはこんな感じでしょうか。おさらいはOKですね?

 

 

では「髪の毛」は?

先ほどの4「数えようと思ったら数えられるけど、ありすぎて数えられそうにもないもの」の中に「髪の毛」があります。ルール上で考えると、a はつかず、ただ hair となります。

 

He doesn’t have any hair.
あいつつるっぱげやで。

 

 

 

ところで、ドラゴンボールにはつるっぱげのキャラクターが大勢登場します。クリリン、亀仙人、ピッコロにフリーザ…ドラゴンボールの話をするときはこのフレーズ、使い放題です! 外国でも有名なアニメですしね、笑いをとれるかもしれませんよ(笑)

 

 

ちなみに、髪の毛がないことは bald とも言いますね。洗剤のボールドとは違いますよ。

 

He is bald.
あいつハゲてる。

 

さらには

 

He is going bald.
あいつキテんなぁ!

など be going (現在進行形)を使って「キテル」とも表現できますよ。40代や50代の時に参加する中学校の同窓会などで使えそうな気がしますね(笑)

 

 

 

He has a hair. を使う場面

さて、そんなルール上は a はつかない hair ですが、a hair という場合が、実はあるんです。それは…

 

He has a black hair!
あいつ、髪の毛一本だけ生えてるで!!

ドラゴンボールに詳しい方ならご存じでしょうが、チャオズがまさしくコレではないでしょうか! あまりメジャーなキャラではない上、毛が一本しか生えてないのを見る場面はめったにないので、詳しく知りたい方は頑張ってコミックを読んでみてください(笑)

冗談はさておき、「いやいや、そうは言ってもさぁ、1本だけ生えてる人なんてそういてないし、実際にこのフレーズ使う時なんかないやん?」と思った方。ありますよ。

 

Look, I have a long hair on my little toe!
ちょ、見てみて、俺足の小指に長い毛(一本)生えてんねん!

※日本語では「1本」などあえて言わないので( )で示してあります。

 

毛はなにも頭だけではありませんからねぇ。

 

 

a を one に置き換える場合

a は「ひとつ」を指すのであれば、one を代わりに使ってもいいのでは?と疑問に思う方もいるのでは。確かに使えるんですけど、ニュアンスがちょっと変わるんです。先ほどのフレーズでその違いを見てみましょう。

 

Look, I have a long hair on my little toe!
ちょ、見てみて、俺足の小指に長い毛(一本)生えてんねん!

Look, I have one long hair on my little toe!
ちょ、見てみて、俺足の小指に長い毛一本生えてんねん!

 

one は、それが「ひとつ」であることを強調する場合に使います。

 

I usually read a lot, but last week I read only one book.
いっつも私結かなり本読むんやけど、先週1冊しか読まへんかったわぁ。

1冊、ということを強調していますね。ここで逆に a を使うと少し変になりますね。

 

フリーザ
Hair?  What’s that?  I don’t even have one on my whole body.

毛? なんですかそれは? ボク体中どこにもそんなの一本も生えていませんけどね…

フリーザ様には髪の毛どころか眉毛もありません! 「一本も生えてない」ことを強調すべきでしょうね。

 

たかが a ひとつですが、あるなしでイメージが全く違うものになります。ネイティブスピーカーはちゃんと a / an が使えてないと「それ、いくつあんの?」と混乱してしまうこともあるんだとか。冒頭で述べたように、そのルールや例外は語りつくせないほどあるのですが、千里の道も一歩から。あまり難しく考えずに、ひとつひとつ知り、使っていくことで習得できますよ。

 

まとめ

He has hair. ではちゃんと髪の毛がしっかりあること、He has a hair. というと1本だけあること、と全く違う画ができあがります。